蛇と踊る:ネイティブアメリカン・ホピ族の蛇踊りの本当の理由〈前編〉

ゲイリー・A・デイヴィッド著

https://www.ancient-origins.net/history-ancient-traditions/dances-snakes-real-reason-hopi-snake-dance-009868

アリゾナ州北部に住むホピ族は、
何千年もの間、
蛇の多様で豊かな原型を具現化する
秘密の神聖な儀式を行なってきた。

現代では、いわゆるスネーク・ダンス
(Tsu'tikiまたはTsu'tiva)が
有名になっているが、その理由のひとつは、
参加者が生きた蛇を口にくわえ、
首に巻きつけるからである。

毒蛇、無毒蛇を問わず、
ガーター・スネーク、ゴファー・スネーク、
ブル・スネーク、サイドワインダー、
そしてガラガラヘビも含まれる。

ホピ・スネーク・ダンサー、1924年アリゾナ州北部。(作者提供)

ホピ・オフィス
ホピ族は、ガラガラヘビや
他のオフィディアン種との親密さが、
高地砂漠に降雨と豊穣をもたらすと信じている。

一方、ほとんどの
ペンテコステキリスト教会で
見られるような悪魔的な要素を
表すものではないことも確かだ。

2年に1度の先住民の儀式は、
フルート・セレモニーと交互に、
隔年8月に行われる。

https://youtu.be/P64AuCIKOh4
偶数年には第3メサの
オライビ村とホテビラ村、
第2メサのションゴポビ村とシパウロビ村で、
奇数年には第2メサの
ミショングノビ村と第1メサのワルピ村で
ヘビ・ダンスが行われ、
後者の村が最も強い伝統を保持している。

この儀式は、実際には
蛇崇拝やオフィオラトリとみなすことはできない。
その代わりに、
素晴らしく美しいが厳しい砂漠の風景の中で、
農耕の豊穣と
モンスーンの湿気を祈願するものである。

この16日間の儀式
(9日間だけという説もある)は、
農作物(主にトウモロコシ、豆、カボチャ)
の成熟を促すものである。

トウモロコシの穂軸。(Sam Fentress/ CC BY SA 2.0 )

四方(北西、南西、南東、北東の順)から
集められた蛇は、
乳白色のユッカの根で洗われ、
「洗礼」を受ける。

冥界の使者である蛇は、
人々の祈りを冥界の祖先の霊に伝えるために
清らかでなければならない。
また、踊り子たちの歯の間に挟めるほど
清潔でなければならない。

この儀式は、蛇の社会(Tsuutsu't)と
カモシカの社会(Tsöötsöpt)の両方が
関わっているため、
蛇とカモシカの儀式と呼ばれている。

半地下の共同祈祷室であるキバで、
アンテロープの司祭たちは
曼荼羅のような砂モザイクの祭壇を作る。

この祭壇は一般的に
約30インチ(76.2cm)四方の大きさで、
中央に東を向いたクーガーの肖像、
側面に沿って4匹の色の異なる蛇が描かれている。

砂の色は4種類のトウモロコシと
4つの方角に対応している:
黄色/北西、緑(または青)/南西、

赤/南東、白/北東。

また、モザイクの中に見える
4列の半円形の雲からは、
4匹のジグザグの稲妻のようなヘビが
飛び出している。

モザイク、ワルピ、1897年。ジェームズ・ジョージ・ウォートン撮影。
縁に沿った粘土玉の中の曲がった棒は、亡くなった長老の背中を表している。(著者提供)

 

デューク大学の人類学者ウェストン・ラ・バール(1911 - 1996)は、このシンボロジーを次のように解釈している。


"...ホピ族は、蛇-ファルス-矢-稲妻という
複雑なシンボリズムを、
彼ら自身の明確な記述の中で、
かなり恣意的に結びつけている。

武器は戦士の特殊な男性性を象徴し、
戦士が代表する戦士の神々は明白に男根であり、
神々の像は稲妻の落ちた木で作られ、
稲妻の蛇は神々の矢であり、
トウモロコシ畑に落ちる稲妻は
それらを肥やす行為である。"

冬至のすぐ後に行われる
スネークダンスのために祈りの棒(パホス)
を作る戦士たち(qalèetàataqt)は、
8月の儀式にもさまざまな根から作られた
男性用の薬を提供する。

戦士たちの "男薬 "を使う理由は、
蛇の儀式は雨乞いの祈りであると同時に、
男らしさと大胆不敵さの誇示でもあるからだ。

戦士の長のバルドック
(胸に斜めにかけるベルト)を
クーガーの姿に巻きつけ、
戦士の薬鉢をその上に置く。
(ボウル」はアパッチの
ピニョンガムのバスケットである)

戦士カチーナと赤ひげ長髪カチーナ - R.ヌムケナ作、ホピ第2メサ、アリゾナ州。(anneheathen/ CC BY 2.0 )

オリオン座の同期

ホピ族にとって、
冬の主要な星座はオリオン座だ。
彼らや他のプエブロの人々は、
星、特にオリオンを戦争と結びつけている。

オリオンのベルトは、
戦士のバルドック(帯飾り)として
概念化されることもある。

E.C.パーソンズはこう述べている:
「オリオンのベルトはバンドリエ( to'zriki)
と考えられており、それはこの星座が
戦争の長( kahletaka)だからである。
オリオン座は冬の真夜中に天空を支配するが、
夏の夜明けにも現れる。

オリオン座は春の終わりから数ヶ月間、
冥界に滞在していたため、
生きている人間には見えなかったのだ。

研究者のリチャード・メイトランド・ブラッドフィールドは、
ホピ族にとっての星座の重要性についてこう語る。

"アリゾナ北東部の夜空は鮮やかに澄み渡り、
オリオン座は偉大な星座である。
この緯度でそれに匹敵するのは、
北の北極星の周りを回るプラウと、
南西の地平線に低く横たわる
スコーピオンだけである。"

しかし、オリオン座が昇っているときは、
その規模と個々の星の大きさの両方によって、
ホピ族の村の上空を支配する。

肉眼で見えるオリオン座。( cc by sa 3.0 )

アンテロープの祭壇に話を戻すと、
それは宇宙の表現であり、
イマーゴ・ムンディであると同時に、
宇宙の再創造でもあることがわかる。
この点について、
作家のフランク・ウォーターズはこう書いている:
「祭壇全体は、大地、空気、水、植物、
そして人類によって形成された世界を表している。
歌は秘密で、
外部の人間が聞くことは許されていない。」

ワルピの蛇踊りと観客、左は「蛇岩」(著者提供)

儀式が始まって11日目の真夜中前に、
蛇の乙女とカモシカの青年の結婚が行われ、
2つの社会が象徴的に統合される。

その直後、神聖な歌(パヴァーシオ)
の詠唱が行われる。
人々のためではなく、蛇自身のために
「未知の外国語」で歌われるこの歌は、
オリオン座が東の地平線に昇るまで
キバで続けられる。

西暦1100年8月21日
(ホピ・メサに大規模なプエブロが
建設されたおおよその初期)、
ションゴポヴィの村から見ると、
オリオンは午前1時30分頃に
東の地平線の上に昇り、
おおいぬ座シリウスは午前3時頃に
地平線を通過した。
ソヤルと呼ばれる冬至の儀式もまた、
オリオンの出現とシンクロしている。
今回は12月21日午前1時過ぎ、
キバの頭上のハッチウェイに
子午線上にオリオンが見える。

オリオン座、おうし座、てんびん座、
おおいぬ座の一部(シリウスとムルジム)。
(nate2b/ CC BY NC ND 2.0 )

広場でのスネーク・ダンス最終公演の前日、
オリオン座とシリウスが昇る日の出前に、
スネーク・ソサエティの2人の戦士が、
それぞれ7月から8月、
そして9月初旬まで続くモンスーン嵐の
雷と稲妻を表す牛の鍬(トボキンピ)と
稲妻のフレームを持って、
スネーク・キバと
アンテロープ・キバの周囲を数周する。
これらの気象現象は、
ホピの天空神ソトゥクナンとも関連している。

後編に続く