クムザリ語:絶滅寸前のオマーン語と小さな漁村に暮らす人々

https://www.euronews.com/2019/06/07/kumzari-the-omani-language-on-the-verge-of-extinction

オマーンの北端、ホルムズ海峡という
戦略的貿易大動脈に位置する
小さな漁村クムザールは、その結果、
一風変わったアイデンティティを育んできた。

ボートでしかアクセスできない
この孤立した飛び地では、
45の異なる言語からなる
クムザリと呼ばれる独自の方言が生まれた。

アラビア語ペルシャ語といった
中東の言語から、フランス語、
ポルトガル語、英語といった
ヨーロッパの言語まで、
さまざまな要素を含む独特の言語である。

「クムザリ語には、英語と同じ単語が
いくつかあります」と、
クムザルの学生でクムザリ在住の
ハリド・アル・クムザリは言う。
「例えば、"door "はクムザリ語で
ドアのことです」とアル・クムザリは言う。

クムザリの起源とは?

何世紀にもわたって受け継がれてきた
この方言の正確な起源は不明だが、
その由来についてはいくつかの説がある。
何世紀もの間、この村では、 
アラビア湾への世界貿易ルートの
要衝である海峡の支配権をめぐって、
競合する帝国が争ってきた。

住民のモハマド・アル・クムザリによれば、
世界中の船乗りが水を汲みに立ち寄ったため、
地元の人々はそれぞれの
言語を覚えたと言われている。

かつて、人々はホルムズ海峡を通って
クムザール村に来ていました。
「昔、彼らは船でこの村を通過し、
この井戸を使って水を仕入れていました。」
他の村人によれば、船乗りたちは
クムザリ語で暗号を交わし、
競争相手との取引を隠していたという。

クムザリ語を話す人はどれくらいいるのだろうか。
現在、この言葉を話すのは
クムザールの住民4,000人だけだ。

ユネスコはこの方言を
 "深刻な絶滅危惧種 "に分類し、
言語学者たちは今後50年で
消滅する可能性があると述べている。

ユネスコは、消滅の危機に瀕している言語が
世界中に約2500あると推定している。
絶滅の危機に瀕している言語の多くに
共通する原因は、地域文化の喪失である。

オマーン全土で、
農村コミュニティの過疎化はよくあることだが、
現地の報道によると、
クムザールでは出生率が高いため、
村の人口は年間300人ほど増えているという。

このことは、
ハリドやモハマドのようなクムザール人に、
自分たちの母語が後世に
受け継がれるという希望を与えている。
家族の休暇をクムザールで過ごすために
アラブ首長国連邦からやってきた
ハムダ・アッバースは、
村の住民から現地の表現を学べたことを喜んでいた。