紀元前のインドにおける自然崇拝の精霊、ヤクシャ・ヤクシ

パトラヴァハカ・ヤクシャ
インド、マディヤ・プラデーシュ州
紀元前紀元前50年

この自然の精霊を擬人化したヤクシャは、
彫刻の力作である。
細部まで精巧に作られたヘアバンドをつけ、
中央の宝石を縁取る背中合わせのマカラ
(神話に登場する海の怪物)が
特徴的な重厚なネックレスを
身につけたヤクシャは、
圧倒的な存在感を放っている。

力強い胸から、
富の象徴である豊満な腹へと変化し、
きつく結ばれた腰帯にぶら下がっている。

このような完全な姿は、
裏面にも同じように顕著な筋骨隆々さがあり、
インドの自立彫刻の初期の発展における
重要な瞬間を示している。
腕が上がっていることから、
彼はカリアティード、
あるいは建築物の荷重を支えるような
役割を担っていたことがうかがえる。

彼はおそらく、酩酊させる液体、
おそらく儀式用の飲み物である
ソーマを満たした彫刻の鉢を
持ち上げていたのであろう。

このようなタイプのヤクシャは
名前によって讃えられただろうが、
その身元が保存されているものはほとんどない。

  • ヤクシャとヤクシ

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ヤクシャとヤクシは、
仏教、ジャイナ教ヒンドゥー教
初期美術に見られる神話上の人物で、
しばしば対になって視覚的に表現される。

ヤクシャは男性の姿で、
ヤクシはそれに対応する女性の姿である。

彼らは樹木、山、岩山、川、海に住む
精霊であると信じられていた。

ヤクシャが彫刻に多く見られるのは、
たいてい自然の要素に関連しており、
歴史時代初期(紀元前6~3世紀)に
自然崇拝が広まっていたことの
表れと考えられている。

ヤクシャに関する最古の記述は、
『ヤクシャの歴史』に見られる。
のような叙事詩が書かれる頃には、
ヤクシャは精霊、
または幽霊や悪魔とは区別されるものの、
高尚で類似した一群の人物と呼ばれていた。

初期の仏教の文献や彫刻では、
ヤクシャは仏陀に従属する存在として
しばしば登場する。

しかし、組織化された宗教の枠外では、
歴史時代初期に多くの記念碑的な
ヤクシャ像が制作された。

これらの像や
文献に見られるいくつかの記述から、
ヤクシャはある地域では守護神として、
またある地域では
樹木やその他の自然界の独立神として
崇拝されていたことがうかがえる。

左:バーフート仏塔のヤクシ、紀元前1世紀頃、マディヤ・プラデーシュ州、右:ミトゥナ、カール洞窟、マハラシュトラ州、紀元前2世紀(photo: Photo Dharma, CC BY-2.0)

チベット仏教の資料では、
ヤクシャとヤクシは、
生前に個人や共同体に仕え、
善良な霊として生まれ変わった
人々であると主張されている。

ジャイナ教の書物も同様に、これらの精霊は、
その寿命が尽きると死すべき人間として
生まれ変わると主張している。

これらは、仏教やジャイナ教の組織が、
それまで独立していた自然の神々やカルトを
自分たちの形而上学的体系に
組み込もうとしたことを
示しているのかもしれない。

インド、マトゥラー、パーカム出土の
ヤクシャ・マニバドラ、紀元前150年頃、高さ260cm(Mathura Museum; photo: Biswarup Ganguly, CC BY 3.0)

ヤクシャとヤクシの最古の像として
知られているのは、
バーフートとサーンチの彫刻レリーフである。

ヤクシャとヤクシは一般的に、
時にはアニコン仏陀の従者として描かれている。

これは、パーカムやヴィディシャのヤクシャ、
ベスナガルやディダルガンジのヤクシなど、
マウリヤ時代以降の彫刻に見られる。

紀元前数世紀の終わりから
紀元前数世紀の初めにかけて、
ヤクシャの図像は、腹部が目立つなど、
より柔らかい特徴を持つようになった。

これは特に、
ある伝承ではヤクシャの王とされ、
他の伝承では富の神ともされる
ヤクシャの彫刻によく見られる。

彼は豊富な宝石を身につけ、
突き出た腹の下でドーティを結んでいる。

マハラシュトラ州ピタルコーラの
ヤクシャ像は、
クベーラの図像の一例と考えられる。

クベーラの乗り物には、
馬、象、雄羊などがある。
また、メイスや棍棒を持つ姿も描かれている。

仏教、ジャイナ教ヒンドゥー教の文献には、
ヤクシャの人気と
崇拝に関する記述がいくつかある。
パークハムのヤクシャの彫刻は、
マニバドラの表現であると
広く信じられている。

ディダルガンジ・ヤクシ、紀元前3世紀、
磨砂岩、インド、東部パトナ、ディダルガンジ・カダム・バスル、高さ約162cm(インド、パトナ博物館蔵)

ヤクシは一般に、ネックレス、腕輪、
アンクレットを身につけた
上半身裸の豊満な姿で描かれる。
下半身と腰は衣服と宝石で飾られている。

このようなヤクシは
シャラバンジカと呼ばれるが、
これはブッダが母マヤによって
サラの木の下で誕生したことに
ちなんでいるのかもしれない。

また、豊穣を連想させる
水の入った壺や蓮の花を持っていたり、
ナーガやマカラと一緒に
表現されていることもある。

ブテスヴァラ・ヤクシ像、紀元前2世紀、赤砂岩、高さ64インチ(インド、マトゥラー博物館、写真:Biswarup Ganguly, CC BY 3.0)

ヤクシ像は、
ブテシュワールの
ヤクシ・レリーフに見られるように、
背の低い人物の上に立って描かれることがあり、
その人物は不敵な笑みを浮かべ、
恐ろしい表情で描かれている。

ヤクシャ、ヤクシ、チャウリを従えるジーナ像、9~10世紀、銅合金、インド(カルナータカ州)、高さ24.8cm(メトロポリタン美術館蔵)

ヤクシャやヤクシは、紀元前1000年半ばには、
一般的な仏教やヒンドゥー教では影を潜めたが、
仏教の儀式では願いを叶える存在として
取り入れられることもあった。

ジャイナ教では、
紀元前500年から15世紀まで、
中世初期から後期にかけて描かれ続け、
時には崇拝され、
左側にヤクシャ、右側にヤクシーニを従えた
二十四神の従者として描かれている。

 

夜叉

https://syukatsu-life.com/terms/yaksha

【読み方】やしゃ
【英語】yaksha

夜叉(やしゃ)とは、
お釈迦さまの教え(仏法)を
お守りする神のことです。

もともとは、インドで
人を食べる鬼神でしたが、
仏教に従って悪いおこないをやめ、
今ではその教えを守る善神として
生まれ変わりました。

仏法を守る神・精霊は8種類おり、
夜叉はその中のひとつです。

 

(夜叉は人を食べる悪い神ではなかったのだろうな

仏教以前に人の生活を見守ってきた、自然の精霊

悪者を改心させた話にすべきではない)

 

鬼子母神

そして、ヤクシ、ヤクシニーは、

鬼女であり、出産中の女性や子供の守り神の側面もある、鬼子母神になっていました。

中国、台湾、日本ではヤクシュニが有名で、

大乗仏教の仏法の擁護者として崇められている
二十四守護神の一人である
ハリティ(Hariti)

などがあります。
東京の雑司が谷にある鬼子母神
(ハリティ)には彼女が祀られています。

https://en.wikipedia.org/wiki/Yakshini

 

(この話も、子供をとって食べるというのは

後からこしらえたものなのだろうね)

https://www.kishimojin.jp/history/index.html

 

インドや、日本の人達は、悪者が改心する話が好きなのだろうか?

そして、仏教の神を引き立てるために、

それまで大切にされてきた自然神を「鬼」に

仕立て上げたんだろうか?

 

その他のリソース
Vidya Dehejia, "South Asian Art and Culture", on The Metropolitan Museum's Heilbrunn Timeline of Art History.
A.K. Yaksas Coomaraswamy, Yaksas, Part I. (Washington, D.C.: National Museum of Asian Art, Smithsonian, 1931).
Susan L. Huntington, The Art of Ancient India:仏教、ヒンドゥー教ジャイナ教(ニューヨーク、東京:ウェザー・ヒル、1985年)。
Gauri Parimoo Krishnan, "Nature Goddesses", Goddess:Divine Energy」(シドニーニューサウスウェールズ美術館、2006年)。
Amita Sinha, "Nature in Hindu art, architecture and landscape," Landscape Research 20, no.
Gail Hinch Sutherland, The Disguises of the Demon:The Development of the Yaksa in Hinduism and Buddhism (New York: New York State University, 1991).