タルタリア帝国・マッドフラットは誰が言い出し、どの民族の歴史を闇に葬るか

歴史上最も荒唐無稽なタルタリア帝国の内幕

カール・シーバー
2023年4月9日https://www.historydefined.net/inside-the-empire-of-tartaria/

ワシントンの国会議事堂、
ギザのピラミッド、万里の長城。
もし誰かが、あなたがそれらについて
教えられてきたことはすべて間違っていて、
これらの建造物は私たちの時代より
ずっと前にタルタリア文明によって
建てられたものだと言ったらどうだろう？

当然、あなたは目を丸くしたくなるだろう。

おかしな話だが、
インターネット上では何千人もの人々が、
タルタリア（タルタリア帝国）と
呼ばれる古代の巨大文明が、
人類文明の最も重要な建築成果の
いくつかに関与していると確信している。

（タルタリアを襲った泥の洪水によって埋まったとされる建物）

↓

（アフリカのスタンダード銀行ビル）

アトランティスの失われた文明や、
レムリアやムー大陸の
失われた大陸の話と同じように、
この建築の陰謀は近年、少しずつ広まってきている。

YouTubeにアップされた
数人のクリエイターによる動画の
束から始まったこの説は、瞬く間に広まり、
今では1万4000人を超える信者を集めている。

そして、先に述べた失われた文明のように、
彼らの物語は水没で終わる。

何故、泥の洪水が起きたのかについては言及されない

泥の洪水（マッドフラット）がこの帝国を一掃し、
洪水や "後進的 "な人間の手によって
破壊されることのなかった
驚異的な建築物だけが
残されたと言われている。

（洪水によって埋まったとされる建物）

↓

（山形の旧県庁）

https://www.gakushubunka.jp/bunsyokan/restoration/

山形の旧県庁が建ったのは1877年、146年前

これを面白いと思ったなら、
もっと興味深いことがある。

タルタリアの存在を隠し、
その功績を自分たちのものにしようとする
人々によって、
隠蔽工作が行われているというのだ。

タルタリア陰謀説の起源

タルタリア陰謀説のルーツは
ロシアの疑似科学であり、
ロシアの陰謀論者
アナトリー・フォメンコの『新年表』に
タルタリア帝国に関する記述が初めて登場する。

ニコライ・レヴァショフはオカルティスト

および心霊療法家

破壊的カルトのリーダーと言われる

ニコライ・レヴァショフはその後、
フォメンコの研究を人種オカルト史として広めた。

https://na-dache.pro/dom/89965-zakopannye-doma-122-foto.html

その結果、ロシアはタルタリアであり、
その本当の起源は西側諸国によって
隠蔽されているという信念が生まれた。

その後、ロシア地理学会は
これらの主張をすべて否定し、
この陰謀説は過激派の空想だと一蹴した。

（ジョバンニ・ボテロによるタルタリアの地図）

タルタリア帝国に関する話は、
2016年まで一見頓挫していたように見えたが、
YouTubeの様々な陰謀論チャンネルで
ネット上に登場するようになる。

やがて2017年にはFacebookやReddit、
その他のソーシャルメディアチャンネルに
登場するようになり、地歩を固めた。

しかし、この理論はロシアの起源から逸脱し、
建築的陰謀となった。

この説の支持者によれば、
タルタリアは技術的に優れた巨大な種族であり、
我々が登場するはるか以前から地球に存在していた。

（19世紀サンクトペテルブルクというテロップ）

私たちは "泥の大洪水 "の後に
彼らから進化した、とさえ言う人もいる。

この大洪水は、　
彼らと彼らの技術革新のほとんどを消し去り、
彼らの建築の名残だけを残した。

そして我々が現れて以来、
ある人々は彼らの存在を世界から隠し、
彼らの建築を自分たちのものだと
主張しようとしてきた。

（それが、大英帝国と言う陰謀論者）もいる

タルタリアの歴史的基盤

タルタリア陰謀説の多くの側面は、
陰謀論者が歴史地図を読み違えたり、
特定の歴史的出来事について
十分な知識を持っていなかったりしたことに
起因している。

それでも熱心な信奉者たちは、
これは私たちの世界のより啓蒙的な過去を
隠蔽しようとする
ある勢力の仕業だと言うだろう。

そして、見当違いの方法で、
彼らの理論は実際の歴史に基礎を置いている。

（洪水の跡の泥を取り除くとされている画像）

↓

（元は、アメリカ・カンザスシティ開拓の記事）

https://ca.news.yahoo.com/kansas-city-ugly-town-leveled-103000643.html

（自動車や路面電車を通すために、街の再開発をしなければならず、中途半端に埋められてしまった建物はこの時代、実際にあったそうです）

忘れられたタタール民族

タルタリアという名前は18世紀に生まれた。
当時、西洋はシベリアと並ぶ
中央アジアや内アジアの人々について
ほとんど何も知らなかった。
彼らはタルタルと呼ばれ、
彼らの土地はタルタリーと呼ばれていた。

この包括的な用語は、
西側諸国がその地域と人々を
特定できるように一般化するために使われた。

「タタール」という言葉は
中国語の「ダダ」に由来すると言われ、
中国から来た遊牧民を指す言葉としてよく使われた。

現代のタルタリア陰謀論者たちは、
さらに一歩進んで、
北中央アジアから生まれた
技術的に進んだ種族が、
世界中に建設された広大な都市や
インフラに関わっているという
代替歴史を前提にした。

しかし、この文明が崩壊した後、
つい100年ほど前に、
その名残をとどめる建築物が再建された。

その起源は、
このような建築の驚異を
実現できなかった現代の建築家たちに
あるとされている。

偉大なる隠蔽工作

タルタリアの陰謀論者に、
なぜこの失われた都市タルタリアの
確かな証拠がないのかと尋ねたら、
彼らはみな2つの答えを出すだろう。

では、誰がこの技術的に進んだ種族の
存在を隠したいと思うのだろうか？

それに対する一般的な答えは、
フランス、アメリカ、ドイツといった　
近代西欧の大国だろう。

19世紀から20世紀にかけての紛争の多くは、
実はタルタリアが原因だったという
意見が共有されている。

ナポレオンによる1812年のロシア侵攻は
タルタリア帝国への攻撃であり、　
泥の大洪水の後の第一次世界大戦と
第二次世界大戦は、
すべてタルタリアの残党を一掃するための
口実に過ぎなかったと考えられている。

https://gigazine.net/news/20160802-zone-rouge/

⚫︎第二次世界大戦で破壊された建物リスト
ドイツ編
https://de.wikipedia.org/wiki/Kategorie:Zerst%C3%B6rt_im_Zweiten_Weltkrieg

このことは、
特に第二次世界大戦中に多くの
歴史的建造物が破壊されたことと結びついている。

「巧妙な」陰謀論者は、
Google Ngramによれば、
「タルタリア」や「韃靼」のような単語が
19世紀には消えてしまったようだ
ということにも言及するだろう。

〈韃靼人の踊り〉

作曲者ボロディン：1833〜1887（ロシア）

https://youtu.be/FFaDNB73q-M

その理由は、
大規模な隠蔽工作よりもはるかに単純だ。

この時代、中央アジアや内陸アジア、

シベリアの人々を表すのによく使われた

包括的な用語は、

モンゴル人などのより正確な名称のために

使われなくなり、

"タルタリア "や

"タルタリー "という言葉も使われなくなった。

タルタリア帝国

タルタリア帝国説は　
荒唐無稽に見えるかもしれないし、
誇大妄想に思えるかもしれない。

しかし、このような説を
唱える人たちの話を少し聞いてみると、
これらはすべて変化への恐れと、
それがいかに早く起こるか
ということから生じていることに　
気づかされるだろう。

これらの理論家の何人かと会話をすれば、
社会がどのように回っているのかということや、
自分たちの環境を真に理解したり大切にしたりせず、
与えられたものだけを
信じるよう説明しているのかが分かる。

（フィギュアスケーターのザギトワ選手は、ロシアのタタール人であることに興味はありますか？）

https://news.yahoo.co.jp/articles/a50dacd020ed4883a49e14f845fbf01d500206b2

彼ら陰謀論者を見ているうちに、
これらの人々はむしろ
非営利の保護主義者のように聞こえるという
結論に徐々に達するだろう。

〈訳〉スキタイ以前のイカラウ。
しかし、その支配地を占領していた韃靼人
（彼らの言語でモンゴルと呼ばれる
アフィア州の偉大なチンギスを司る人々）もまた、
その名前を変えてきた300年の間に、
アフタ本土の半分弱を含む
（その場所で話したプレコピティ韃靼人を残して）
ヴォルガ川から中国国境、インド国境まで、
スキタイ海からメ川まで広がっているからである。