オーストラリアのアボリジニに伝わる虹蛇の図象と伝説

https://www.nms.ac.uk/explore-our-collections/stories/global-arts-cultures-and-design/mythical-creatures/mythical-creatures/australias-rainbow-serpent/

レインボー・サーペント(虹蛇)は、
オーストラリアの多くのアボリジニの神話、
宗教、儀式に登場する。

レインボー・サーペントには
多くの呼び名があり、
それに関する考え方もさまざまだ。

ミミとレインボー・サーペント

ミミと虹の蛇、ピーター・マラルワンガ作、1980年。

ピーター・マラルワンガは
虹の蛇をミミの精霊と一緒に描いた。

古くからの伝統

強力な不滅の創造的存在である虹蛇は、
雨と水、豊穣と食物、
そして共同体の繁栄と関連している。

レインボー・サーペントの最古の表現は
岩絵の中に見られ、
関連する宗教的信仰は少なくとも
6000年前のものである。

知られている最大のものは、
アーネム・ランド西部の洞窟壁画である。
体長6メートル以上、
大きな竜のような頭と恐ろしい歯を持つ、
強大な生き物が描かれている。

砂漠にて

中央オーストラリアと西部砂漠では、
レインボーサーペントは水飲み場の下に住み、
水飲み場の間を
行き来していると信じられている。

祖先の旅の間に、彼らは
聖地や景観の多くの特徴を作り出した。
蛇は再生する雨をもたらすが、
敬意を払わないと干ばつや
壊滅的な洪水を引き起こすこともある。

パワーと変革

西部アーネム・ランドでは、
クンウィン・ジュク族は
「虹」という言葉を、
神話上の創造の母であるインガルナと
その子供たちを表すのに使っている。


インガルナは、動物や人間を含む
数多くの祖先の存在を産んだ。

インガルナとその子供たちは皆、
変幻自在の力を持ち、
さまざまな姿をとることができる。

ガリョドとその妹のンガルクンブリヤイミは、
それぞれニシキヘビの体と
ワニのような頭を持っており、
カンガルーやバッファローなどの
動物の頭に変身できると考えられている。

彼女の息子ンガリョドは聖地を作り、
モンスーンの雨に関連している。
ガリョドは空に昇ると虹のように見える。

儀式

葬儀の儀式(ロルコン)では、
故人の骨は中空の丸太の棺に納められ、
この棺は虹蛇インガルナと同一視される。
インガルナは死者の霊を「飲み込む」。

その後、少年たちが男性に変身する
イニシエーション・セレモニーで、
彼女は死者の霊を再び解放する。
この時点で、生命のサイクルが
再び始まるのである。

レインボーサーペントの伝説のひとつ

https://www.aboriginal-art-australia.com/aboriginal-art-library/rainbow-serpent/

ドリームタイムの始まり、
大地は平らで乾いて何もなかった。
木も川も動物も草もなかった。
乾いた平らな大地だった。

ある日、虹の蛇ゴオリアラが眠りから覚め、
自分の部族を探しに旅立った。
東から西へ、北から南へと
オーストラリアを横断し、
立ち止まっては部族の姿を探した。
乾燥した平らなオーストラリアを
くまなく探したが、何も見つからなかった。
長い間探した後、疲れて横になった。

しかし、彼が眠るために横たわった土地は、
彼が仲間を探しに出かけた土地とは違っていた。
仲間を探しながら、
彼の大きく長い体は大地に大きな溝を刻んだ。

ゴオリアラは砂の上にひとり横たわり、
この世にもっと多くの
生命を生み出そうと決心した。
「カエルたちよ、出てこい!」と呼ぶと、
カエルたちは蓄えた水を
腹いっぱい抱えて地面から上がってきた。

彼はカエルをくすぐり、
カエルの口から水が溢れ出し、
大地の溝を満たした。

この溝が、今日私たちが目にする
川や小川を作ったのである。

水が大地を流れるにつれて、
草や木が生え始め、大地を彩り始めた。

食べる草と飲む水ができたので、
ゴオリアラは動物たちを起こした。
カワセミは笑い、ゴアンナは歩き、
ウォンバットは巣穴から出た。

ある動物は海に住み、
泳いで進んだり戻ったりした。
ある動物は空に住み、
友だちと一緒に遠いところへ飛んでいった。

陸で砂を掘って遊ぶ動物もいた。
彼らは幸せで、
自分たちの部族に持ち帰るために
食べ物や水を集めた。

虹の蛇は、すべての動物が
従わなければならないルールを作った。

ルールに従った動物たちは
人間になることで報われる。
ルールに従わない動物は罰せられる。

ある動物はルールに従い、
人間になることで報われた。
ルールに従わない動物たちは、
山を作る石に変えられた。

ある日、雨が降り始めた。
今までに降ったことのないような雨だった。
雨は何日も何日も降り続き、
世界は水浸しになっていった。
二人の若者、ビルビル(虹色のロリキート)
兄弟は雨宿りをする場所がなく、
虹の蛇のところへやって来た。
彼らは雨宿りの助けを求めた。

虹の大蛇は空腹で、若者たちをだました。
「そこなら雨もしのげるだろう。」
若者たちはゴオリアラの口に入り、
ゴオリアラは口を閉じて二人を飲み込んだ。

彼はすぐに、若者たちが
行方不明になっていることに気づいた人々が
探しに来るだろうと悟った。

そして、彼らの足跡が
自分の口に続いていることを知った。
彼は捕まりたくなかったので、
安全だとわかっている唯一の場所、
空に隠れることにした。

彼は追いかけてくる人々から離れて空に隠れ、
この二人の若者を失った
彼らの悲しみを見た。
二人を再び幸せにしようと決めた彼は、
自分の体を美しい色の大きな弧に変えた。

今、雨が降るたびに、
レインボー・サーペントが、
レインボー・ロリキートの兄弟たちを
奪ってしまったことへのお詫びとして、
その美しい色を地上の人々に
分け与えるのを見ることができる。