シャムエルネシム:古代から続くエジプトの春の祭典ガイド

2022年4月25日はシャム・エル・ネシム。

エジプトのあらゆる宗教で祝われる行事です。

https://www.middleeasteye.net/discover/what-sham-el-nessim-egypt-spring-festival-explained

エジプトでシャム・エル・ネシムを記念して集まる家族・友人たち(ロイター)

By Nadda Osman

公開日: 3 May 2021

毎年、あらゆる宗教と背景を持つエジプト人は、

「風の匂い」を意味するシャム・エル・ネシムを祝って春を迎えます。

この祝祭日は、ファラオ時代の伝統にルーツを持ち、より広く知られているイランのノウルーズの祭りと似ており、

同じく春の始まりと再生の象徴とされています。

https://www.afpbb.com/articles/-/2205909

 

ここでは、エジプトで最も古いお祭りの一つである

ノウルーズについて、

ミドルイーストアイが質問にお答えします。

シャム・エル・ネシムはいつですか?

☆今年のシャム・エル・ネシムは、4月25日です。

(2023年は、4月17日:イースターマンデー)

毎年、コプト教の復活祭の1日後に行われます。

西洋の宗派では、

イースターグレゴリオ暦

3月22日から4月25日にかけて行われるのが一般的です。

しかし、コプト教徒はユリウス暦

復活祭を祝うので、

宗教的な行事はそれ以降に行われる。

今年は、コプト教徒と他の東部の宗派は

4月24日にイースターサンデーを迎えます。

(2023年は、4月16日)

シャム・エル・ネシムは1日だけのお祭りだが、

人々は数日前から伝統的な料理を作ったり、

外出の計画を立てたりして準備をする。

約5000年前から続く祭りを記念して、カイロでピクニックを楽しむ家族(AFP=時事)
 
★お祭りの起源は?
 
シャム・エル・ネシムの起源は、
シェムとして知られていた紀元前2700年頃までさかのぼる。
春の祭典では、
古代エジプト人は春分の日に合わせて、
塩漬け魚やその他の食べ物を神に捧げていた。

☆第3王朝の時代に相当するこの時代、
季節の移り変わりは作物の種まき、成長、
収穫に意味を持つため、
春の到来はエジプト人にとって重要なイベントだった。

☆紀元1世紀にエジプトにキリスト教が伝来すると、この祭りはコプト教の復活祭と
関連付けられるようになり、
毎年復活祭の日曜日の翌日に行われるようになった。
 
シャム・エル・ネシムという名前は、
古代エジプト語を起源とするコプト語に由来する。
もともとの発音は「tshom ni sime」で、
庭の草原という意味だった。
エジプトがアラブ化するにつれて、
アラビア語で「風の香り」を意味する
「シャム・エル・ネシム」に音写的に変更された。
また、この日を「シュモの祝祭」と呼ぶ人もいて、
生命の復活を意味する。

★シャム・エル・ネシムは誰が祝うのですか?
 
誰でもです。シャム・エル・ネシムは、
キリスト教イスラム教よりも古くからあるため、
信仰に関係なくエジプト人に祝われる数少ない祭りの一つです。

シャム・エル・ネシムでは、ボート乗りや縁日が大人気(AFP=時事)
 
★シャム・エル・ネシムはどのように祝われるのだろうか。
 
☆家族や友人同士で、庭や公園、
ナイル川沿いなどの広々とした場所でピクニックをして、暖かい春の気候を楽しみます。
ピクニック中、人々は音楽を奏でたり、
ゲームをしたりする。

 
この行事にちなんだ最もポピュラーな歌は、
1950年代に「エジプト映画のシンデレラ」と呼ばれたエジプトの人気俳優・歌手ソード・ホスニーの
「El donya rabee(春だ)」である。
 
また、歌手であり作曲家でもある
ファリド・アル=アトラーシュの
「Adi el rabee ad men tany(ここに再び春が)」も人気曲の一つである。

彼は500曲以上を録音し、
30本以上の映画に出演したことから、
「ウードの王」と呼ばれることもあった。
20世紀のアラブ音楽において、
最も影響力のある重要な人物の一人とされている。
 
また、動物園やビーチを訪れたり、
この日のために国内各地に出現する縁日で、
子供たちを楽しませる滑り台や乗り物を楽しんだりして、この日を祝う人もいる。

シャム・エル・ネシムのもう一つの伝統は、
ゆで卵に染料で絵を描いて飾ることです。
前日の夜にゆで卵を作り、
その日のうちに
さまざまなデザインを施すのが一般的です。
卵を使うことは、
再生と再生の象徴とされています。
卵に願い事を書いて、
それが叶うようにと、木や家に飾る人もいます。

ナイルデルタの都市マンスーラで、再生の象徴として卵を飾り付ける子どもたち(AFP=時事)

 

★シャム・エル・ネシムには何を食べるの?

シャム・エル・ネシムには、

この祭りにちなんだ食べ物がたくさんあります。

中でも最もポピュラーなのは、

発酵させて塩漬けにしたボラの魚「フィシーク」だ。

この料理はとても辛く、

ほとんどの家庭では室内や家の中で食べることはありません。

毎年、シャム・エル・ネシムの時期には、

エジプト保健省から食中毒に関する警告が出される。

慎重に作らなければ、フィシークは腐り、

ボツリヌス中毒を引き起こす可能性がある。

報告によると、

1991年にはこれを食べたために18人が死亡したとのことである。

魚肉ソーセージは適度に食べ、

汚染や腐敗の兆候がないかを点検するよう、

当局からアドバイスが出されている。

魚は天日干しで調理され、

数カ月から1年程度

塩漬けにしてから食することが多い。

昔は家庭で作っていたが、

今では臭いがつくのを避けるため、

店で出来合いのものを買って食べる人が多い。

休日の前後には、

フィシークの需要が高まるため、

専門店ではフィシークの販売が増加する。

専門に作る人はファサカニと呼ばれる。

魚はパンと一緒に食べることが多く、

消化を良くするためにレモン汁を絞る。

フィシークを作るためにボラの魚を買い求めるエジプト人の行列(AFP=時事)

 

フィシークやニシンなどの塩漬けの魚と一緒に、

人々はネギやレタスを食べる。

青菜は消化を助け、

魚の高い塩分濃度とのバランスを取る役割を果たすと考えられている。

祝日に魚を食べる習慣は、

ファラオ時代に上エジプトのエスナという街で

神々に食べ物を捧げたことに始まると考える人が多い。

ラトポリスという街の元々の名前は、

塩漬けにする前の魚を意味する言葉に由来していると言われている。

エジプトの伝説によると、タマネギを食べる習慣は、ファラオの娘が不治の病にかかったと信じられ、

その病を治すためにタマネギを使った事件に由来するという。

また、悪霊を追い払うという説もある。

また、フィッシュが苦手な人には、

つるむらさきの詰め物が中東全域で食べられており、地域によってさまざまな工夫が凝らされている。

シャム・エル・ネシムの時期に

エジプト人がよく食べるスナックは、

テルム(ルーピン豆)である。

ナイル川やビーチを散歩しながら食べたり、

来客時や映画鑑賞の際にポップコーンの代わりとして楽しむ人が多い。

エジプト全土の屋台で売られており、

紙製のコーンにレモンとチリフレークを添えて

提供されるのが一般的です。

テルムを作るには、

まずルパン豆を一晩水に浸す必要がある。

茹でると、豆は鮮やかな黄色になります。

その後、真水に浸し、塩とレモン汁をかけます。

食べるときは、外皮を剥き、中の豆だけを残します。  

 

参考 エジプトのシャンム・ナスィームのニシン料理たち

https://www.arabfoodsweets.com/post/20180410